映画『羊と鋼の森』あらすじや感想など


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この『羊と鋼の森』は宮下奈都著の小説で、第13回本屋大賞を受賞しました。

ピアノの調律師の話というのを読んで、文庫本になったら是非読みたいなと思いながら味読のままです。

 

映画では、山﨑賢人と鈴木亮平という好きな俳優さんが出演していたので、楽しみにして鑑賞しました。ピアノの音も好きだから映像と音がどんな感じになっているのだろうと期待。

ネタバレありです。

 

 キャスト

・外村直樹:山﨑賢人

・柳伸二:鈴木亮平

・佐倉和音:上白石萌音

・佐倉由仁:上白石萌歌

・板鳥宗一郎:三浦友和

あらすじと感想

 

主人公の外村直樹(山崎賢人)は、17歳のとき高校でピアノ調律師・板鳥宗一郎(三浦友和)が体育館のピアノを調律をしているのを聴いて、ピアノの音色に森の匂いを感じる。

体育館のピアノは古いけれど優しい音がする。良い羊のフェルトを使っているから良いハンマーが昔は作れたんだと解説してくれる。

 

最初からとても静かな映画で、森林の中でピアノの一音が鳴り響くシーンが多いので、眠いときに観ちゃうと寝てしまう可能性があります。私がそうでした・・・。

ピアノの音が好きで調律にも興味があって、出演している俳優さんが好きでも、この落ち着いたテンポの映画に寝てしまうくらいなので、興味がない方が見ると退屈だと思ってしまうかもしれません。

 

外村直樹は2年間かけて東京の調律の専門学校に通って調律師になり、楽器店に就職します。

その調律師になる専門学校でのシーンも、整調・整音・調律の説明での授業。

整調は、こういう部品がいっぱいあって羊のフェルトのハンマーまで動いて弦が鳴るという仕組みが見ていて分かります。

整音は、音量や音質をそろえるのにハンマーの硬さで調整。調律は音叉を使って「ラ」の音を440Hz(ヘルツ)として他の音を合わせていく作業です。今は442Hzであわせることが多いかも。

 

外村が就職した楽器店はレトロな雰囲気なのも素敵な場所。

調律をしていると板鳥宗一郎(三浦友和)がやってきて、焦ってはいけません、こつこつこつこつですと言われる。

その意味を知ろうとメモを持って北川さんに質問するけど忙しくて相手にしてもらえない。調律の予約をしていたお客さんにも急なキャンセルがあったりして大変そう。

今度は秋野さんに調律師ってどう・・・と質問しようとすると、柳(鈴木亮平)を呼んで指導係に指名して外村の指導を柳がすることになる。

おどおどした態度で不安そうな外村に柳は、どうどうとしていればいいと教える。そりゃあ、不安そうな調律師って頼むほうも不安になるよね。

 

そして柳と外村は、佐倉姉妹の家に調律に行って姉妹の個性の違いを目の当たりにする。

調律が終わり、姉の和音が弾いた曲はラヴェル作曲の「水の戯れ」。帰ってきた妹の由仁が弾いた曲はショパンエチュード「練習曲Op.25-9」

ラヴェル印象派の作曲家でショパンはロマン派だから違うのは違うけれど、二人の音色の違いに調律師としてどうすればいいのか外村は柳に悩みを話す。

 

柳が彼女に指輪を渡すと帰った日に、佐倉の家のピアノの鍵盤が一つ上がらなくなって外村が呼ばれる。

それは直すことが出来たけど、微妙な音のずれが気になると姉妹の言葉を聞いて勝手に調律をして酷い状態にしてしまう・・・。

 

そうして、外村は新規のお客さんの調律をしながら調律師として成長していく。季節が過ぎていくのも風景で表しているのがとても美しいです。

 

そして和音が外村にコンクールの地区予選があるという話をして、由仁はコンクールや練習を気にしてないけど拍手が多いのはいつも由仁のほうと気にしている様子。

外村は佐倉姉妹の家の調律を担当するようになるが、ショパン作曲の「ピアノ・ソナタ第3番第4楽章」を弾いていて、同じ箇所がどうしても気になる和音は外村に「もう少し力強く」と音の調節を頼む・・・

妹も帰ってきてラヴェル作曲のクープランの墓の曲をさっと弾いて良い音だとお礼を言って二階に宿題をしに・・・すると和音はまたショパンソナタの同じところを弾き始めて、和音のほうがナイーブになりすぎだと感じちゃうね。

 

家にグランドピアノを置けて蓋も開けて弾けているのって恵まれた環境だと思う。

また、家とコンクール会場のピアノは別で、その場のピアノにあわせて弾けないといけないわけで、ピアノの大きさも違うからどうなのだろう。

和音のコンクール前の要望の音「力強く」というのは、本人が演奏で出す音の範囲に入らないのかな?

 

そしてこの映画で好きなシーンの一つに、柳がバンドでドラムを叩くシーンです。

一瞬映画だというのを忘れて、鈴木亮平がドラム叩いてる~!と。ドラムの演奏がどうだったのかは分からないけど、鈴木亮平がドラムを叩くと思ってなかったから新鮮な場面でした。

 

和音は心配で外村に調律を何度も頼んでいたみたいだけど、調律ではどうにもならないこともあって、コンクール本番、気にしていた箇所が過ぎたあたりで演奏が止まってしまった?

シーンが移るときに止まるように弾いているように見えたのだけど、どうも和音が止まったのではなかったみたいです。後で分からなくなって見直しました。

 

コンクールの結果が気になっている外村と柳は、今度巨匠のラインハルトというピアニストが調律師に板鳥宗一郎を指名する。

 

佐倉さんのところからは電話で娘がピアノを弾けない状態だからしばらく調律を見送りたいと連絡がはいる。

外村は自分が調律していて和音のほうを気にかけていた責任を感じるけど、柳はピアノにピアニストをどうこうする力はないと外村に言い聞かせると、外村は何のために自分がピアノを向き合ってきて調律をしてきたのかと、森の中で迷子になったようなときに、祖母まで亡くなって実家に帰って弟と語る。

 

板鳥が担当することになったピアニストの調律も外村は見学して、ベートーヴェン作曲「ピアノ・ソナタ第23番 熱情 第3楽章」の演奏に雪山の風景が重なって、雪が光っての金色のキラキラした映像は、美しい音の粒を表していたように見えました。

このピアニストが弾いていたピアノのメーカーはYAMAHAじゃなくてスタインウェイでした。またこの方の名前はミハウ・ソブコヴィアクという本物のピアニストということで、もっと演奏を聴いてみたいです。

 その後、外村は板鳥からチューニングハンマーを譲り受けます。

 

そんなある日、由仁が来てコンクールで失敗してからピアノを弾こうとすると指が動かないと話す。ここで初めて由仁のコンクールでのシーンが映って、演奏中にミスして右手が動かなくなったみたい。

落ち込んだけどなんとか復活してきたから挨拶に来たと、それより和音が落ち込んでピアノに近づこうともしなくて困っていると。

 

由仁は外村に調律を頼むけど、外村が家に来ているのを見た和音はすぐ階段をあがっていってしまう。夜になってから一人でピアノに寄っていって鍵盤をみつめる和音。

 

柳の結婚が決まって、結婚披露パーティーでピアノを外村にお願いする。ピアノ演奏は和音さんだと言う。

当日、佐倉姉妹は一緒に来て、和音は試し弾きにショパンのピアノ・ソナタ第3番第4楽章を弾く。またピアノを始めてピアニストになりたいって言うと、由仁が嬉しそう。

由仁のほうもピアノを諦めたくないから調律師になりたいと柳に会ったときに話して。

パーティーでの和音の演奏も来賓の方たちも楽しんでいます。そして外村はコンサートチューナーを目指しますと宣言。

 

エンディング・テーマ『The Dream of the Lambs』は作曲・編曲を久石譲、演奏がピアニストの辻井伸行。綺麗な曲でした。

 羊と鋼の森 オリジナル・サウンドトラック SPECIAL(CD2枚組)

 

この映画のキャスティングがイメージと合っていて私は好きです。

新米調律師の山﨑賢人の最初はおどおどした弱気な感じだった青年が、調律師としても成長する姿。

その先輩調律師に鈴木亮平。面倒見が良い優しい先輩役がぴったりでした。鈴木亮平さんって色んな役をやっているけれど、普通の人が良さそうな役を演じると凄く良い人に見えるよね。もちろん良い意味で書いています、誤解のないようにお願いします。

 

で、調律師って目立たない職業だけど、大変な職業で。アコースティックピアノが家にあったから調律師さんに来てもらうことは何度もあったのだけど、調律師さんによって音も変わったりします。

誰が良いというよりも、音などが合う合わないということはありました。

昔ピアノを弾いたり弾かなかったりしていた頃は、2年くらい調律しないでいたりしたけど、全体的にずれるように上手く調律してくれていたように思っています。あまり専門的なことは分かってないまま、弾ければいいかなと思っていました。

 

この映画は、本当にキャストが好きか、ピアノの音や静かな映画が好きな人じゃないと眠ってしまう可能性あります。

また、どこまで調律師さんに音を求めるかなど、少し考えてしまったところもあって。自宅のピアノも明るい音、柔らかい音、鍵盤の重さくらいはお願いしてもいいのかもしれない。ただ、弾き方で音も変わるはずなのと、どこまで調律で音を変えられるのかもはっきり知りたくなりました。

 

こういう映画を観ると、ピアノじゃなくてもいいから何か楽器を鳴らしたくなりますね。